網繹數位科技股份有限公司は今回の取材先の中ではもっとも創業が古く、会社の規模も大きい(台湾では株式会社=股份有限公司、有限会社=有限公司と表記する)。台北市内でもよく見かける古いタイプのビルの1フロアにオフィスはある。クラシックな内装を活かした空間で、若いスタッフがパソコンにむかって仕事に取り組む、クリエイティブな環境だ。
「会社設立は1996年ですので、この業界ではかなり古い部類でしょうね」
もともと台湾大学で森林環境分野の研究に携わっていた邱氏は、友人に誘われて起業に参画したが、その友人が会社を離れてしまい、出資者に迷惑をかけることができずに、経営を引き受けたという。
「つまりIT分野は専門でも何でもなかったんです。それでやはり最初の何年かは非常に苦労しました。軌道に乗ったのはここ3〜4年ですよ」
業務はホスティング、プログラミング、そしてデザイン全般。25人の社員の内訳は、セールス5人、デザイナー8人、プログラマー10人、その他、といった割合だ。
起業当時はウェブサイト構築が中心だったが、現在では台湾のプロバイダー大手のSEEDNet、ポータルサイト大手PCHomeなど大手上場企業からの業務受託が増え、データベース企画・構築、業務用ソフト開発、システム・インテグレーションまで業務を拡大している。
「台湾ソニーや富士ゼロックス、ベネッセなど、日本企業のクライアントともお付き合いがありますよ」
日本では企業サイト構築に関して、CMS (コンテンツ運用管理支援)・SEO
(検索エンジン対応)といったキーワードが話題に上がることが多いが、台湾ではどうだろうか。
「弊社では、いまではほとんどのウェブサイトにCMS機能を組み込んで構築しています。従って運営管理はすべてクライアント自身が行っています。公開後の対応としては、プログラムのデバッグや、まれにCMS自体がうまく使いこなせないという問題がある程度でしょうか」
また、彼らのクライアントは、民間企業・政府機関、職種や業界を問わず、驚くほど幅が広い。
「現在弊社では、DHL(全世界に展開する国際輸送サービス大手)の台湾支社サイトを手がけています。ここのように各国共通のテンプレートを使って、とにかく機能的で使いやすいサイト構築を求められるケースもありますし、博物館や台湾の伝統的な物産品を紹介するサイトのように、芸術性や歴史性・高級感などが求められる案件もあります。いずれにも対応可能なデザインの幅の広さと品質がわれわれの一番のアピールポイントといって良いでしょう」
グローバル企業のクライアントとのつきあいも多い邱氏に、ウェブサイトのグローバライズ/ローカライズについての考え方を聞いてみた。
「考古学博物館である十三行博物館(Shihsang
Museum of
Archaeology)では、中国語、日本語、英語の3カ国語を作成しています。各国毎に文化的・歴史的背景は違いますから、同じ施設を紹介する場合にも、説明の切り口や情報量、そしてデザインも変わってきます。これは企業サイトの場合も同じことで、海外クライアントの仕事を受ける場合には、本社と台湾支社、そのマーケットの違いを常に意識しています。豊田通商株式会社の台湾支社サイト構築に当たってはマーケティング調査も行いました」
今後は、デザイン分野では商品や販売プロモーションにおけるインタラクティブな3D表現、システム分野では企業向けのERP(経営資源管理のためのシステム)サービスに特に力を入れたいと、経営者としての意欲を見せる邱氏。実際にお会いすると知的で穏和な雰囲気の研究者タイプ。
「去年は社員旅行で大阪に行ったんですよ」と若いスタッフをリードする人柄がうかがわれる。
台湾と日本で、互いに相手国のクライアントも持つ網繹數位科技股份有限公司とウェブワークス。さまざまな面での協力関係をお願いすると、快く承諾してくれた。今後も情報交換を続け、特に中国語ウェブサイト構築に関してはネイティブの立場からのアドバイスをお願いしたいと思っている。